インティマレーザーの研究論文紹介2
このページでは、インティマレーザー治療の研究結果を紹介します。
有害事象(副作用)が少ないこと、GSMや腟のゆるみ、尿もれの改善効果を報告している研究論文です。
GSM症状の改善、有害事象3%未満
Gambacciani M, et al. Long-term effects of vaginal erbium laser in the treatment of genitourinary syndrome of menopause. Climacteric. 2018;21(2):148-152.
この研究論文は、閉経後女性におけるGSMに対するエルビウムYAGレーザー治療(インティマレーザー)の長期的有効性を評価したものです。
主なポイントは以下の通りです:
205名の閉経後女性を対象に、30日間隔で3回のレーザー治療を実施した。
症状評価には主観的指標(VAS)と客観的指標(VHIS)を用い、治療前から24ヶ月後まで追跡した。
腟の乾燥感と性交痛のVASスコアは、最後の治療から12ヶ月後まで有意に改善した(p < 0.01)。
VHISも同様に12ヶ月後まで有意に改善した(p < 0.01)。
18ヶ月後および24ヶ月後には、これらの値はベースラインレベルに戻った。
114名の軽度から中等度の腹圧性尿失禁(尿もれ)を有する女性でも症状の改善が見られた。
有害事象による治療中止は3%未満であった。
結論として、エルビウムYAGレーザー治療はGSMに対して効果的で安全な治療法である可能性が示唆されました。ただし、効果の持続期間は12ヶ月程度であり、それ以降は再治療が必要となる可能性があります。
この研究は、GSMに対する非侵襲的な治療選択肢としてのレーザー治療の有用性を示していますが、長期的な効果維持のためには定期的な治療が必要であることも示唆しています。
GSMに対するインティマレーザーの短期的効果
Gambacciani M, et al. Vaginal erbium laser: the second-generation thermotherapy for the genitourinary syndrome of menopause. Climacteric. 2015;18(5):757-63.
この研究は、閉経後女性における外陰・腟萎縮症候群(GSM)に対するエルビウムYAGレーザー治療(インティマレーザー)の短期的有効性を評価したものです。
主なポイントは以下の通りです:
45名の閉経後女性を対象に、30日間隔で3回のレーザー治療を実施した。対照として、25名の女性にエストリオールゲルを使用した。
症状評価には主観的指標(VAS)と客観的指標(VHIS)を用い、治療前から24週後まで追跡した。
膣の乾燥感と性交痛のVASスコアは、最後の治療から24週後まで有意に改善した(p < 0.01)。
VHISも同様に24週後まで有意に改善した(p < 0.01)。
19名の軽度から中等度の腹圧性尿失禁を有する女性でも症状の改善が見られた。
有害事象による治療中止は3%未満であった。
結論として、エルビウムYAGレーザー治療(インティマレーザー)はGSMに対して効果的で安全な治療法である可能性が示唆されました。特に、効果の持続期間は少なくとも24週であり、エストリオールゲルと比較して長期的な効果が見られた。
この研究は、GSMに対する非侵襲的な治療選択肢としてのレーザー治療の有用性を示しています。特に、長期的な効果維持のためには定期的な治療が必要であることも示唆していますが、この研究では24週後までの効果が確認されました。
腟のゆるみと尿もれ改善効果
Vizintin Z, et al. Novel minimally invasive VSP Er:YAG laser treatments in gynecology. J Laser Health Acad. 2012;1:46-58.
この研究論文では、Er:YAGレーザー(インティマレーザー)を用いた腟弛緩症候群(ゆるみ)や腹圧性尿失禁(尿もれ)に対する新しい最小侵襲治療法の効果を検討しました。
ほとんどの患者で腟の引き締まりが改善し、有害事象はほとんどみられませんでした。
治療1ヶ月後に90.4%の患者が改善に満足し、別の研究では膣の直径が平均17%(12mm)縮小したと報告されています。
軽度の腹圧性尿失禁患者の97.4%、中等度の患者の89.5%が1-2回の治療で尿失禁が治癒したと報告されています。
また、治療前の尿失禁スコアが平均13.9点から10.8点に22.4%改善しました。
膣弛緩症候群や腹圧性尿失禁の低侵襲な治療選択肢になると期待されます。
過活動膀胱と腟萎縮症状に対する効果
Chiengthong K, et al. Efficacy of Erbium YAG laser treatment in overactive bladder syndrome: a randomized controlled trial. Menopause. 2023;30(4):414-420.
この研究は、閉経後の過活動膀胱症候群と腟萎縮症状を有する女性に対する腟内エルビウムヤグレーザー治療(インティマレーザー)の有効性を評価するために行われた、単一施設でのランダム化比較試験です。
50人の被験者が、レーザー治療群とプラセボ治療群に無作為に割り付けられました。
12週間後の評価で、レーザー治療群ではプラセボ治療群と比較して、過活動膀胱症状スコア(OABSS)の合計点、夜間頻尿、尿意切迫感の項目で有意な改善が認められました。
また、QOLスコア(OAB-q)(生活の質スコア)の対処と社会生活の項目、1日の排尿回数、尿意切迫感のエピソード数、1回排尿量の最大値、膣萎縮症状の自覚症状スコア(VAS)と他覚所見スコア(VHI)も、レーザー治療群で有意に改善しました。
以上より、閉経後女性の過活動膀胱と腟萎縮症状に対して、腟内エルビウムヤグレーザー治療が有効であることが示されました。過活動膀胱症状の改善は、膀胱日誌での評価でも裏付けられています。
治療対象者と有害事象(副作用)のグローバル調査
Gambacciani M, et al. Safety of vaginal erbium laser: A review of 113,000 patients treated in the past 8 years. Climacteric. 2020;23:S28-S32.
この研究は、2012年から2019年の8年間にインティマレーザー治療を受けた113,174人の患者のデータを集めたグローバル調査です。
535人の医療従事者から回答を得て、そのうち188人(35%)が43,095人の患者で観察された有害事象の頻度について詳細な情報を提供しました。
レーザー治療は、腟のゆるみ(46%)、腹圧性尿失禁(尿もれ)(31%)、閉経性泌尿生殖器症候群(GSM)(9%)、骨盤臓器脱(7%)などの適応症に使用されていました。
報告された有害事象はすべて軽度から中等度で一過性であり、頻度は低いものでした。最も多かったのは腟分泌物(4.01%)と浮腫(3.45%)でした。
インティマレーザーは、調査対象の適応症に対して安全であり、リスクプロファイルは非常に低いことが示唆されました。
作用の紹介動画
インティマレーザーの作用を動画で説明したYouTube動画をご準備しました。
動画はこちらからご視聴いただけます。
料金・回数・リスク・副作用の説明
インティマレーザーは多くの方に効果的な施術ですが、いくつかの注意点、リスク、そして副作用があります。これらを理解し、適切に対応することが大切です。
また、当院の標準的な料金・回数などの情報を提供いたします。
料金
- 1回:44,000円~99,000円
- カウンセリング(相談):無料。必ず、施術希望日よりも前の日までにカウンセリングを受けてください。
回数
- 標準的な治療間隔:1~3か月
- 回数:1~6回(症状・カウンセリング内容によって、モードが異なりますので必ず事前にカウンセリングを受けてください。
注意点
以下に当てはまる方は施術を受けていただくことができません
- 妊娠中・授乳中の方、悪性腫瘍のある方
- ペースメーカーを使用している方、麻酔でトラブルのある方、てんかん発作の既往のある方
- ヘルペス・カンジダのある方、腟粘膜に炎症、傷がある方
- 光感受性を高める内服または外用をしている方(金・白金ナノコロイドを含む)
リスク・副作用
- 腫れ、むくみ:インティマレーザーの治療では多少の腟壁の腫れ(むくみ)がほぼ確実に発生しますのでご注意ください。多くの場合、全く痛みはなく、1~2日で消失します。
- 施術後の違和感や痛み:施術後、軽度の違和感を覚える方もごくわずかですがいらっしゃいます。この症状は1週間ほどで自然と治まります(約4%)。
- おりものの増加:おりものが増加する症状が発生する方もおられます(約5%)。一般的に1週間ほどで自然解決します。
- 少量の出血:腟の内壁には個人差があるため、少量の出血が発生する方もいます(約3%)。すぐに止血されるほか、少量であるため衛生面などの問題はございません。
- 一過性の尿失禁:一過性に尿失禁症状が発生する方もおられます(約3%)。
これらのリスクや副作用は個人差があり、また施術の環境やご自身の体調によっても異なります。施術を受ける前に、医師や専門スタッフとしっかりと相談し、自身の状態や健康状態を正確に伝えることが大切です。また、施術後に何か異常を感じた場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
情報提供
インティマレーザー機器は医療用に作られ海外では承認されている国もありますが、日本での薬機法上の承認を受けておりません。
保険は適用されませんので自費診療となりますことをご了承ください。
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